寄稿者:T
あいにくの梅雨空の午後、小川隆夫氏の「ジャズとの出会い、ニューヨークへの想い」を聴講した。
初等科から高校までを成城学園で過ごした小川氏は現在、整形外科医、JAZZジャーナリストとして活躍中だが今回の講演は小川氏の音楽をめぐる青春グラフィティーともいうベき90分で会場も大いに熱くなった。というのも集まった世代それぞれの音楽体験を小川氏のドラマチックな半生の瞬間、瞬間に重ね合わせる事が出来たのではと思うからである。東京オリンピック(1964年)を境にエレキやアイビー・ルックの台頭で若者文化が変わりジャズの概念も今日のポップス的要素も含めたものへと多様に変化しはじめていた。
小川氏も、その頃を起点にジャズに親しみ大学時代以降はニューヨークでの著名アーティストたちとの出会いによって体得した音楽文化の奥深さを多くの著書やライナーノーツを通して日本人に伝道しつづけている。その半世紀にも及ぶ活動に心から敬意を表したい。