寄稿者:T.U
金田賢一さんの公演は、この詩人・サトウハチローさんの作品の一説通り、心地よい言葉と出会えた時間でした。
「朗読」といえば、聞き手は「受け身」になりがちです。
でも、金田さんの朗読は、背景や音楽に極力頼らず、言葉を頼りに、受け手が自分だけのイメージを能動的に膨らませる場にすることを大事にしています。
そのために「本をそのまま読むのではなく、一度自分で書き直したテキストをつくることが肝要だ」というところは括目に値します。
その作業過程で作品に関する「再発見」があり、読み手が作品をより自分のものにできるそうです。
最後に金田さんが向田邦子さんのエッセイを美声たっぷりと朗読してくださいました。
懐かしい昭和の日常にある笑いに、会場はドッと沸き、読む楽しさ聴く楽しさを味わい尽くしました。
皆様もぜひ金田さんの朗読会に足を運び、言葉によるイメージの世界に遊んでみて下さい。