今井昭彦(24文D/15院文修)著
2013年6月 御茶の水書房
定価:7,600円+税
ISBN:978-4-275-01034-6
戊辰上野の戦いにおける彰義隊士の慰霊、会津戊辰戦役における東軍戦没者の慰霊、
西南戦役における戦没者の慰霊など反政府軍戦没者の慰霊は誰がどのように埋葬処理したのだろうか。
-はしがきより-
私が近代日本における戦没者慰霊の問題に本格的に取り組み始めたのは、成城大学大学院の学生時代
からであるから、顧みればすでに三十年近くにわたってその慰霊のありようについて覚束ないながらも関心を
抱き続けていることになる。それまでのささやかな研究成果は、戊辰の内乱以降の内戦の場合と、
対外戦争との場合との両局面から分析して取りまとめ、とりあえず前著『近代日本と戦死者祭祀』(2005)
として上梓した。
ここでは本格的に論究できなかった明治10年の西南戦役(丁丑戦役)における戦没者慰霊,
とりわけ時の政府に対して反乱をおこし「賊軍・賊徒」とされた西郷隆盛らの薩摩軍、
つまり反政府軍戦没者の問題についても、私自身の宿題として積み残されていた一つの課題であった。
こうした宿題を含め、当初は『近代戦没者慰霊の研究』として、再び内戦と対外戦争の双方の視点から
一冊にまとめることを考えて、まず前半部分の内戦における研究を一冊にすることになった。
<後略>