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ワンキャンパスで学んだ先輩たちのストーリーを大学生のインタビューでお伝えします。

Stories - 卒業生インタビュー - 企画について

【目的】
成城学園同窓会は、同窓生相互の親睦を図り、かつ母校の発展に協力することを目的として設立され、
これまでに多岐に亘る事業活動をしてきました。
事業活動の1つとして学生支援も行っています。

今回は、経済学部の境新一先生のゼミ生と連携し、
「実社会に向けて見識を深められる機会を提供できれば」という学生ファーストの視点で、
各業界で活躍中の卒業生へのインタビューを通じ、社会人形成期にあらたな発見と知見を拡げられる
支援を企画しました。

 

第13回卒業生インタビュー

取材日時:2024年7月18日(木)13:00~14:30

取材相手:株式会社 産業経済新聞社 木下慧人氏(54回文芸)
インタビュア:経済学部境新一先生ゼミ生(3年生6名)

Q.はじめに新聞社という職業を選んだ理由をお聞かせください。

A.この仕事に就こうと思った動機は、幼少期に劇団に所属していたため、テレビや舞台に出ていた経験から、ぼんやりと子供の頃からマスコミに興味を持っていたのがきっかけです。中学を受験する際、成城大学にマスコミュニケーション学科があることを知り成城に入学しました。
マスメディアの中でも新聞という媒体を選んだのは、当時の世の中の動きが大きく、ニュースに興味を持っていたことが影響しています。

 

Q.今回が初めてのインタビューですが、これから先もインタビユーさせていただくことや記事を書いていく活動があるのですが、その記事掲載の上で、読者の方に読んでもらうための工夫などをお聞きかせください。

それは難しい質問です。
新聞の記事や雑誌のインタビューは形式が違います。私自身、新聞記事は書けるのですが、作文となると良くて「中の上」、特別上手くないんですよ。多分記事を書く能力と作文の能力はちょっと違うのでしょう。記事は書けば書くほど、上手くなるというか、一定のレベルに達するんです。
逆にインタビューはいわゆる決まった形式がないので、ある程度インタビユーを受ける方のセンスに任せられます。質問のセンスもそうだし、質問の意図もそうだし、どういう狙いでどういう言葉を聞き出したいかっていう前提がないとインタビューは難しいかなと思います。

今後、インタビューされるのであれば「どんな答えかを想像しながら聞く」のも面白いし、それと正反対の答えだったらそれはそれで面白い。こう聞いたらこう来るんだろうなっていう想定をしながら聞いていくと、ストーリーが立てやすいのかなと推察します。

Q.確かに新聞と雑誌は違います。

A.読まれるところで言ったら見出しですね。1番キャッチーなところとかをその全体の中で取ってきて、それを見出しにするみたいな。文章のまとまりごとに、1個1個見出しをつけるみたいな作業があったりすれば、そういうのも手かなと感じます。読んでみたいと思わせるものがいいと思います。

 

Q.読みたいと思わせる見出しですね。凄く大事なことを聞いた気がします。ありがとうございます。
ところでマスコミ業界に入って大変だったことはなんですか?

A.マスコミ業界に入ってから1、2年目の兵庫県警担当時代の頃が大変でした。
当時、日本を揺るがす大事件が兵庫県で起きました。正に自分が担当の事件だったんです。そういう時は、毎日現場で聞き込みしたりとか、取材したりとかで、とても忙しくなります。特に大変なのは、取材対象者の出勤前や帰宅前に自宅まで訪ねていき、「事件の進捗はどうですか」などと取材することです。当然、公の場でそういう取材ってできないから、オンじゃなくてオフの場所、つまりその1対1になれるところで取材をするんです。これって、朝5時に起きて、午前2時に寝るような生活がずっと続くんですね。つまり、取材対象者が帰ってくる時に取材をし、その後、私が家に帰り、また対象者が出勤する前に私は自宅を出発して、相手の家の前で待機するという日々が、1、2ヶ月ぐらい続きました。もちろん取材班は私だけじゃないのですが、何人かでチームになって毎日新しいネタを書かなきゃいけないというプレッシャーがありました。私達がこれを書かないと産経新聞を愛読される人にとって、そのニュースが止まっちゃうんです。他の新聞社もどんどん書くわけです。お互いにプレッシャーを感じてるんですけど。ちゃんとやらなきゃいけなかったから、肉体的には辛かったですね。

Q.新聞記者の使命感を聞かせていただいた気がします。辛い日々の中とは反対に、マスコミ業界に入って楽しかったこと、思い出に残っていることはなんですか?

A.それで言うと、やっぱり一般の人ができない経験がたくさんあると思います。それこそ大きな記者会見などを生で見られるのも記者の特権です。皆さんがテレビで見るような有名な方とも目の前の距離で会えます。他には読者の方からいただいた記事の感想のお手紙や、取材した方から「載せてくれて有難う」というお言葉は非常に励みになりました。あと、インターネットの掲示板などで自分の記事が話題になった時です。いろんな方が何を書いているかを見るのが好きで、自分が社会に影響を与えてるんだなと思って、それはプチやりがいでした。良くも悪くも炎上しても褒められても、そこは嬉しいなと思っていました。

 

Q.記者として読者に伝える上で意識していたことは何でしょうか?

A.現場でないと分からない情報を正しく理解できるよう記事化することを心掛けていました。加えて読者は経済的な負担をして愛読されていますので、誤った情報を書かないことも意識していました。

 

Q.記者の経験が、人事や他の部署で活きることはありましたか?

記者の業務で言うと、役所の資料を読むなどの仕事が結構ありました。
現在は人事部に所属していますが、人事部に来ても資料を読むことはよくあります。皆さんも社会に出たら学ばなければいけない法律や社会のルールがあります。今は、記者の時に大変な思いをして資料を読んでおいて良かったなと感じます。また、人の話を聞いて書くっていうのは、記者に限らず、いろんな仕事でも共通するベースになるところだと思うので、そこは活きていると思います。記者というキャリアが特殊なので、活きているところが限られているところもあるんですけど、うちの会社ではいろんな職種を経験された方がやはり幅があるということを感じてしまいます。


Q.これまで同じ新聞社で業務をされていますが、転職についてはどうお考えでしょうか?

今は転職が当たり前の時代です。私は社内で「転職」しましたが、前部署で培ってきたスキルを新部署でも発揮できたと思います。もちろん、一般的な「会社をまたいだ転職」であっても、同じです。そういう意味ではいろんな環境に出会うためにする転職というのも、前向きに考える時代なのかもしれません。
だからどんな仕事や経験でもどこかで役立つと思いますよ。
皆さんのアルバイトもたくさんのところで活かせると感じます。

 

Q.最後に成城大学のOBとして、私達大学生に伝えておきたいことはありますか?

A.成城で中高大と過ごしてきて、教授との距離やキャンパス内での幅広い年代の人との距離が近いところが魅力だと感じています。
それは、こぢんまりとしたキャンパスの上、幼稚園児から大学生までがワンキャンパスにいるところから生まれる身近さだと思います。他大学出身でも、卒業したら同じこと言っているかもしれないんですけど、やはり母校の成城生と話していると落ち着くしフィーリングが合いますね。
また、成城生はコミュニケーション能力が高いように思います。それは、先程も言及したように幅広い年代の方と身近に関わっている為、自然に備わっている能力なのだと感じます。幅広い人との関わりを大切にしながら成城で学んだことをそのまま伸ばしていって欲しいですね。

本日は長い間、ありがとうございました。

 

編集後記

今回は産業経済新聞社に勤める木下慧人さんにお話を伺いました。
インタビューを通じて、木下さんの学生時代の姿からはじまり、新聞社の記者という魅力や苦労まで多くの事を学ばせていただきました。現在の成城生へのお言葉もいただき、新しい気づきも多く大変貴重な時間を過ごさせていただきました。
木下様が記者という仕事柄、インタビュアの質問の意図を汲み取りながらの回答が印象的でした。的確に対応するために傾聴の大切さを感じながらのインタビュー、とてもよい勉強の機会となりました。

 

成城大学経済学部 境新一ゼミ

水澤蒼太 (経済学部3年生)
増田由凜子(経済学部3年生)
神野 颯 (経済学部3年生)
小川滉太 (経済学部3年生)
山﨑瑛介 (経済学部3年生)
北谷圭人 (経済学部3年生)

 

後列左から 鈴木小夜子(常任委員)、新谷彰子(常任委員)、長岡夏海(常任委員)、小川滉太、
水澤蒼太、境新一先生、本田敏和(事務局長)、
前列左から 神野颯、山﨑瑛介、木下慧人氏、増田由凛子、北谷圭人