成城学園同窓会公式ホームページ>>成城学園へ

ワンキャンパスで学んだ先輩たちのストーリーを大学生のインタビューでお伝えします。

Stories - 卒業生インタビュー -企画について

【目的】
成城学園同窓会は、同窓生相互の親睦を図り、かつ母校の発展に協力することを目的として設立され、
これまでに多岐に亘る事業活動をしてきました。
事業活動の1つとして学生支援も行っています。

今回は、経済学部の境新一先生のゼミ生と連携し、
「実社会に向けて見識を深められる機会を提供できれば」という学生ファーストの視点で、
各業界で活躍中の卒業生へのインタビューを通じ、社会人形成期にあらたな発見と知見を拡げられる支援を企画しました。

第4回卒業生インタビュー

取材日時:2022年9月12日(月)15:00~16:30

取材相手:航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏(50回経済G)

 

Q,幼少期や学生時代にどのような夢を持たれていましたか。

大きな夢というほどではないですが、商品企画に携わり、世に役立つヒット商品を出したいと思ってました。成城学園中学校に入った頃からトレンドを追うことが好きで、雑誌を買ってよく読んでいました。また今が楽しい視点に立ち、楽しいことには時間を費やしたいと思っていました。そのためには様々なことで努力するという考えを持っていました。

 

Q,中学や高校時代ではどのようなことを学びましたか。

高校2年生の時、ロサンゼルスへ野茂英雄投手が投げる試合のメジャーリーグを観戦に行ったことがあり、その時から、広い範囲で物事を観たいと感じるようになり、自分の目で観ることの大切さを培ったと思っています。

成城では、2㎞の遠泳や山の学校があり、20キロの強歩大会もありましたが、学園を通じて自由な校風である成城学園で学んだことは、自由と責任だったと思います。現在も自分の発言や行動にはすべて責任をとれるように行動しています。現にテレビもできる限り生放送にこだわっています。生放送で自分が喋ったことに関しては責任を取ることができますが、収録もので部分的に放送される場合は、責任が取れないですし、その部分だけ使われる怖さがあります。だから、中学、高校の中で学んだのは、「責任」だったと思っています。

 

Q,成城大学で過ごされ、学んだことや楽しかったことは何ですか。

ゼミとサークル活動を中心に過ごしていました。

大学では、経済学部経営学科で新商品開発のゼミである神田ゼミ(神田範明先生)に所属していました。

ゼミが生活の半分以上を占めており、大学時代が最も勉強したと思います。神田ゼミでは、企業との共同研究を介して商品開発に関わっていましたので、企業の方と実際に考えて真剣に取り組みました。その活動の中で、どうプレゼンテーションしていくのかを学んだと感じています。

大学ではゴルフサークルのキャンパスグリーンに所属していました。グリーンプラザで練習し、先輩方と共にラウンドしたり、食事に連れて行っていただいたり、いろんな楽しみ方をしました。

また、大学4年時に大学を1年間休学し、スコットランドのエジンバラに留学しましたが、この留学が人生の方向を導いてくれたと思っています。留学中は、イタリアやフランス、スペイン、ベルギーなど学校の休暇を利用してヨーロッパ各地を訪問し、いろいろな海外の姿を自分の目で見て、世界の様々な場所に行ける職業に就きたいと感じる経験となりました。

 

Q,大学生活に思っていた社会人のイメージと、現在働いて思う社会人とではどのようなギャップがありますか。

学生時代と異なる部分は、人間関係に尽きると思います。

「この人合わないな」と思う人が仮にいたとしても、「好まれなくてもいいが、嫌われないようにしよう」と思うようにしています。私の考えとしては、敵を作っても何も得が無いし、敵を作るということは攻撃をされてしまうことがあるため、絶対に敵を作らないように心掛けています。

 

Q,なぜ、航空業界のお仕事に就かれたのですか。

食品会社に最初は勤めましたが、25歳頃の時、「30歳までは、自由に好きなことをやっていてもいいが、30歳までには自分の方向性を決めるべきだ」と常々思っていました。その方向性を決める上で、他人よりも自分が秀でているものは何かを考えました。食品会社では海外との取引で、よく中国に行っていました。旅に関することや移動とかは好きだったことに加え、飛行機のマイレージプログラムが注目され始めた頃で、趣味で旅行やお得な情報を発信するブログを書いていました。それを楽しく毎日書くようにしていて、この分野を極めていきたい、これからのマーケットが大きくなると感じていました。私の仕事は、隙間産業と言われる、あまりライバルがいない部分でした。未開拓の分野に入ろうという気持ちから、航空を中心に特化した旅系の記事を書いてみようと思い、書き手を募集していた「インターネットの情報発信サイト」に応募したら、それが通ってしまいました。このことが、航空業界での記者、ジャーナリストへの始まりになりました。

さらに、書き手として色々な情報を発信できる大学教員にもなりたいと感じ始め、2006年頃から書き手と大学の教員の仕事をするようになりました。

 

Q,現場取材にシフトしたアナリストと理解していますが、現場取材にシフトした根拠や大切にしていることなどはありますか。

これは、自分の発言に責任を持つ、自分の書いている文章に責任を持つということを大切にしています。その為、自分の目で見ないと答えられない、書けない、発信できないという部分が非常に大きいと感じています。なぜ現場に行くのかというと、インターネットで出ている情報を発信しても面白くもないし、自分の特徴にもならないと思っているからです。自分で見て、関係者に徹底的に取材をして、取材現場の温度感も察知し、これが良いと思ったものは記事にするようにしています。自分の足で稼いで書いた記事に対しては、誇りを持ちたいし、やりがいを感じています。

 

Q,仕事のストレスなどのリフレッシュ方法はありますか。また、仕事以外で夢中になっていることなどはありますか。

友達と遊ぶ、旅行に行く、家に引きこもる、ですかね。実は、一番好きな場所は家です。取材の合間でも、できるだけ家で仕事したいと思っていて、家にいる時間を大切にしています。取材やテレビ出演の合間でも時間があれば家に一旦戻って、リラックスする時間を取るようにしています。そうすることで、結果的に仕事の効率が上がります。兎に角、リフレッシュは家にいることです。あとは、出張を楽しくする目的で、出張の前後に旅行を組み込むことがあります。仕事とプライベートの境界線はあまりなく、楽しいことを仕事にしているという部分ではストレスがあまりないですね。

 

Q,コロナ禍の前後でお仕事にどのような変化が起こりましたか。

全く変わったと思います。特に2020年の4月、緊急事態宣言が出て、6月ごろまで外に出て仕事することが困難でした。車で、一週間に2回ずつくらい羽田空港や成田空港に行って定点観測をしていました。空港から人がいなくなってしまった光景を撮っていました。

私は、報道という仕事に7年ほど前から携わってきました。コロナ前からリアルタイムでお付き合いしていた人が多かった為、コロナ禍で対面取材ができなくなってもすべての仕事が電話とメールだけでできました。これは、これまでの積み重ねてきたお付き合いが大きかったと感じています。2020年7月に始まったGoToトラベルについても、最新の情報をこれまでの人脈を使って情報収集を行って発信していたことがテレビ局の目に留まって、月最高で生放送とコメント収録を合わせると50本近くのテレビに出ることがありました。一つの番組を頑張ると他の局からも仕事のオファーが来るようになりました。ちょうどオンラインで仕事ができるようになった時期でもありましたので、「カメラ、パソコン、マイク」を使って、全国からリモートで生放送の出演ができるようにしました。テレビ局は私がリモート機器を平日は全て持ち歩いていることを知っているので、スタッフのサポートなしでリモート出演を可能にさせました。

このコロナ禍でテレビ局から多くのオファーがあったのは、日頃の取材活動に加えて、「カメラ、パソコン、マイク」を使って、いつでもどこでもリモートで活用できたのが大きかったと思っています。

 

Q,コロナ禍を経て航空業界や日本人の旅行に対する意識はどのように変化しましたか。

どれだけオンラインの時代になっても、旅行というのは無くならないということです。皆さん「旅行」に飢えています。この2年で感じたことは、旅はどんなことがあってもなくならない。渡航制限などがなくなり、自由に旅行に行けるという状況になれば多数の方が出かけることでしょう。

密になるところはできるだけ避けるといったコロナ禍の旅行の仕方を学びました。変化の部分でいうと、コロナ禍でホテル・旅館での滞在時間が増えたと思います。ホテル・旅館が手を抜いてはいけないところは、朝食とWi-Fiの速度。特に朝ご飯がおいしい場所は、印象に強く残るようになりました。コロナ禍で、詰込み型の旅行スタイルから変わったことは事実です。

 

Q,メディアに出演される際に意識されていることはどんなことでしょうか。

現在、テレビの仕事が多いのですが、「ラジオ」という存在が大きくて、テレビで喋る礎を作ってくれたのがラジオだと思っています。音や声だけでどう情景を上手に伝えていくかが必要になってきます。その中で、どういう喋り方をすれば相手に伝わるのかということを鍛えてくれたのがラジオでした。ラジオでの下積みがあって、テレビに出るというのは結果的にはとても大きかったと思っています。言葉を大切にしてくれるのはラジオです。

好きなことを仕事にできるのはハッピーだけれども、これまでいろいろな努力はしてきたと思います。今楽しいのは、見えない努力があったのだろうと思ってます。

 

Q,以前は、同じ会社で働くことが常識となっていましたが、現在は転職が普通のようになっているように感じます。その中で、感じた業界の変化はありますか。 

会社によって異なると思いますが、ANAやJALなどの航空会社は新卒で入って、長く勤務する人が多いです。一方でIT系や海外の航空会社では何年かで転職し次のキャリアアップをしていく人が多いです。

どっちであってもいいと思うんです。キャリアアップしていきたい意欲がある人は、転職はどんどんしていってもいいと感じています。

私はあまりキャリアアップの意欲はなく、プライベートを充実させるために仕事をしているので、転職を繰り返すよりは、じっくり腰を据えてやっていきたいと私は思っています。自分の価値をどこまで高めていくのかによって、転職するかしないかは変わってくるのではないかと思います。

 

Q,時代の流れが昔と比較すると早く進んでいますが、その新しい時代の流れ、動きに対しての着眼点はありますか。

ブームというのは特にSNS時代になってからは、一気にやってきて一気に去っていく部分がありますが、ブームの中でも日常に定着していくものがあります。例えば、10個のブームがあったとして、そのうち1つか2つは長く残っているものがあると思います。

動きが早い中で、すぐに消えるもの、末長く続くものをどう見極めるのかというところがあり、ブームが起こったときに「これはどれだけ続くのかな」と常に見ていくことが必要です。あまり深入りはしないですが、まずは触れてみる。これが大事だと思います。あとは、常にアンテナを張っていることが必要です。

 

Q,コロナ禍が収束した際に、日本社会が復活することに対して旅行、航空業界に期待していることはありますか。

入国制限が緩和されれば、この円安でインバウンドが間違いなくやってくると思っています。2020年には4000万人ほどの外国人観光客の人が来ると予測されていましたが、来年以降、まずはコロナ前に記録した3000万人を回復して欲しいです。アジアが経済成長したことによって、海外旅行に行ける世界の人口が徐々に増えてきています。そういった人たちが動くことになると思います。また同時に、日本人もコロナ禍で改めて旅行が好きだということが分かりました。今回のコロナ禍を乗り切れれば、再び海外旅行が復活すると期待しています。

航空会社はこのコロナ禍で無駄があった部分や絞るところを絞り、経費削減して利益を出せる構造になりました。2、3年後には、航空会社の業績が過去最高益になるかもしれないと思っています。明るい前向きな雰囲気が今の航空業界にはあります。宿泊業界ではもう一つ、コロナを機に廃業するタイミングもできたのではないかと思います。旅館など万年赤字でどうしようか迷っていた所が、このコロナで、辞める決断をすることができたのではないかなと思います。全てが悲観的になるのではなく、人生のターニングポイントにもなっているのではないかと思いますね。

 

Q,成城大学の学生に一言お願いします。

多くの場所に足を運んで自分の目で見ていくことがとても大切だと思います。今はLCC(格安航空会社)もあり、私が学生時代だった頃よりも安く旅に出られます。ネットの世界ではなくて、リアルに自分の足で行ってみるということが大事だと思います。あとは、文字をたくさん読んでほしいですね。デジタルでもいいですし、文字をしっかりと読むことは大切です。

テレビや新聞などの既存のメディアがあり、新たにYouTubeなどのメディアもありますが、既存メディアと新興メディアのバランスを上手にとって過ごしてもらうと、社会に出ても役立つのかなと思います。一辺倒にならずに、多くの媒体を見ていくことをお薦めいたします。

あとは、目の前のことをしっかりとやっていくことも含めて、頑張っていただきたいなと思います。

 

長時間に亘り、どうも有難うございました。

前列左から 鈴木遥香、橋本彩羽、鳥海高太朗氏、深川杏美、後藤大輝
後列左から 事業支援委員  新谷彰子、同窓会常任委員長 大嶋久幸、同窓会事務局長 本田敏和、
同窓会常任副委員長 田辺清、事業支援委員 宮地藤雄、境新一先生

 

第4回卒業生インタビュー【編集後記】

第4回OBOGインタビューでは航空・旅行アナリストで帝京大学の非常勤講師として、様々なメディアでご活躍されている鳥海高太朗様にお話しを伺いました。航空・旅行分野において最前線でご活躍されている鳥海様へのインタビューは、私たち学生にとって大変貴重で濃密な時間でした。

各メディアに出演される際、学生時代に学ばれた「責任と自由」を念頭に置いて、自分の意見に責任を持つことを心掛けているというお考えが印象的でした。常に心と視野を広く、先を見据えて行動されているお姿に感銘を受けました。また、「好きこそ物の上手なれ」というように働く際、まず自分の仕事や業界を好きになることが大切であると鳥海様のお話しから実感することができました。

 

成城大学経済学部 境新一ゼミ

後藤大輝(経済学部3年生)

橋本彩羽(経済学部3年生)

深川杏美(経済学部3年生)

鈴木遥香(経済学部3年生)