ワンキャンパスで学んだ先輩たちのストーリーを大学生のインタビューでお伝えします。
Stories - 卒業生インタビュー -企画について
【目的】
成城学園同窓会は、同窓生相互の親睦を図り、かつ母校の発展に協力することを目的として設立され、
これまでに多岐に亘る事業活動をしてきました。
事業活動の1つとして学生支援も行っています。
今回は、経済学部の境新一先生のゼミ生と連携し、
「実社会に向けて見識を深められる機会を提供できれば」という学生ファーストの視点で、
各業界で活躍中の卒業生へのインタビューを通じ、社会人形成期にあらたな発見と知見を拡げられる支援を企画しました。
第3回卒業生インタビュー
取材日時:2022年4月14日(木)10:00~12:00
取材相手:全日空商事株式会社 田中葉子氏(34回文芸A)
Q. 成城学園との関わりを教えいただけますか。
A. 私が成城学園に入ったきっかけは、父方の従兄弟達が先に通っており、「良い学校だよ」と両親が聞き、5歳離れた兄が先に幼稚園に受験し入園したことです。兄が入園したことで、私自身もよく母に連れられて成城学園に行きました。
幼稚園の頃はみんなが集まる大きな広間で音楽に合わせ、ぐるぐる元気にスキップをしていた思い出があります。
成城大学では女子ホッケー部に所属し、主将を務め、社会人になってからも30歳ぐらいまではプレーをしていました。
Q. 先輩から「好きなことや趣味などを持っていたほうが社会人になっても心の支えになったり、役に立つことがある」といわれています。30歳までグランドホッケーをやられていたのは息抜きだったり、それが仕事に繋がることがあったからでしょうか。
A. 何か一生懸命にやることがあった人は、そこでぶれない自分が形成され、結果としてそのような人は強いような気がします。仕事以外、好きなことや家庭や友達、先輩や後輩も大切だと思います。「好きなことがあったほうがいいから」という損得ではなく、これが好きだと思うことでそれを深堀りすることが大切です。スポンジのように何でも吸収できる若い時に様々な経験をし、これはこうだからと決め込まずに、こんな事もあるものだ、と認めていけるとよいですね。
Q. 現在のお仕事に活かされていると感じる成城学園での学びがあれば教えていただけますか。
A. 学園は自由をすごく尊重する校風で、生徒はその自由な分、責任もあったと感じました。
学生時代は体育会でチームプレーをやってきて、「チームメンバーのみんなで勝つこと」と明確な目標を立てていました。社会人になると何をゴールに設定するのか難しく判らなくなり、近い目標と遠い目標を置くようになりました。社会人1年目は慣れるのに必死、あっという間に1年が過ぎてしまい、2年目になってやっと少し周りが見えてきました。
ANAグループのチームスピリットという言葉があるのですが、自分が成城で培ってきたチームスピリットというのが活かされました。
Q. 会社においてどのようなお仕事をされていますか。
A. 通信販売で物販やカスタマーサービス、ホテルのアメニティの精算管理、機内販売での品質管理やコールセンター運営、お客様のご意見を反映させる業務経験の後、現在人事部門で働いています。会社では「お客様のありがとうのために」というキャッチフレーズがあり、自分の中でも心掛けています。人事部門ですので「社員のありがとうのために」と考え、心を尽くして仕事をしています。
私の理想は、お客様がANAのサービス(空港、機内、ホテル、WEBサイト等)をどこで受けたとしても、安心安全と温かい気持ちを感じていただけることです。
Q. 会社に入って新しい環境でどのように順応してきたか教えていただいてもいいですか。
A. 私は少し大人げない性分で、順応されたかといわれると自信がなく、成城の個性「自由」感を多く出しています。
私は「人が好き」なので、その点で繋がっていると感じています。
入社の時、社内報で、新入社員紹介があり、「明るさと体力が売り」と意気込みを書いていたのを後々見ると、これがきっかけで、「全日空商事で(当時)忙しい通信販売の部署に配属されたのかな」と思ったりします。すごくきつかったのですが、部で温泉に行ったり、バーベキューに行ったり、自分たちが販売している商品を食べる企画などもありました。アットホームな部署で、素敵な先輩が多く、何十年経った今も繋がっています。
Q. 田中様が仕事をする中で楽しいことや大変だと思うことはありますか。
A. 大変だったことが喜びに変わった事例をお伝えしますね。
通信販売に配属になってすぐの半年間、専用の電話にお客様から掛かってくる対応で、様々なお客様に「申し訳ございません」や「ありがとうございます」を伝えることを通じて、とても衝撃的な体験をしたことです。
お客様が商品の不具合により怒って対応を求められていたのですが、一生懸命話を伺い、再送など対応させて頂いていると、お客様の気持ちが変わり、最後には「ありがとう」と言っていただき、お礼の贈り物を送ってくださったことがありました。私は他人が喜んでくれることに喜びを感じます。自分は仕事をさせていただきながら、楽しいことをやっているような感じ方をしています。
Q. 仕事に対してもスポーツから学ばれたチーム力を持って向かわれているのでしょうか。
A. 例えば、一つのカタログを製作する時、商品を開発したり誌面を作ったりすることが一人では出来ないように、私が会社にいる意味は、一人では出来ないことを皆の技術を積み上げて出来る、力を合わせて作ることにあると考えています。
Q. 長い間仕事を続けられたモチベーションや心の支えはありますか。
A. 働いている中で、周りの人には他の勉強をしたり、家庭に専念するなど、他の道へ行く人もいますけれど、私が辞めなかった理由は、やはり「人」だと思います。一緒に働く人たちに恵まれたとつくづく思います。大きな会社で働いていると、一人で仕事をしているのではなく、周りの方と一緒に働くという実感を持っています。
Q. いま就職活動を行っている方に向けて、心がけておいた方がいいことはありますか。
A. 企業分析をしっかりして、どのような能力を身に着けるべきかなど考えることは必要だと思います。
Q. 大学4年間のうちで、やっておいた方がいいこと、挑戦しておいたほうがいいことを教えてください。
A. それが正解かどうかは分からないですが、とにかく何でも思い切り楽しみ切ることが大切です。白けた目で引いてしまうより、懸命にやる方が楽しい気持ちが生まれると思います。
また伝える力と聞く力は、磨くに越したことはないと思います。受け手がどう思っているか、察するのは大切だと思います。
Q. 大切にされている言葉や、いつも心がけていることなど教えてください。
A. 成城大学出身で、現在アメリカンフットボール部のゼネラルマネージャーをされている西村健さん(ANA→全日空商事社長→退任)からの言葉が印象的です。人事で数年お仕事をご一緒させて頂き、退任後に「田中さんの仕事は相手が人です。人を大切にする会社であり続けてください」とお言葉をいただきました。メールでの言葉だったのですが、いつもすぐ見られる所に保存しています。その言葉をいつも大切にしてます。
また、私は結構昔から”Don’t worry, be happy”がすごく好きですね。その言葉はいつも自分の中にあります。
あと沖縄が大好きで「なんくるないさ」も好きです。
仕事で壁にぶつかる事がありますが、「絶対乗り越えられない壁はない」と思うようにしています。システムにより3ヶ月間在庫が合わず、心底困っているときに、上司の励ましの言葉で前に進むことができました。
Q. 田中様が尊敬している方がいらしたら、その理由を含め教えてください。
A. 身近なお友達で、人に対する配慮とかで「ここまで気を遣える」など勉強になります。
今は、LINEなどで短い言葉のやり取りが多いですが、短い中にもすごく考え抜いた言葉を選んでいる方は尊敬します。
Q. たくさん尊敬する方がいらっしゃるようですが、共通している部分はありますか。
A. 「人に優しくできる」点が共通していると思います。誰に対しても態度を変えない方はすごく尊敬します。どんな方にも丁寧で、きちんとできる人を見ると「素晴らしいな」と思います。
上司に求めるのは決断力です。これから会社に入って、日々決断しなくてはいけない事案が出てくるでしょう。相手の人が求めているのであれば、早く決断してあげるということがすごく重要です。
Q.最後に会社のチームスピリットを表現している事例がありましたら、教えていただけますか。
A, 2020年1月、コロナがまだよく理解できてない頃、武漢へANA機を飛ばして、沢山の日本人を帰国させた事がありました。帰国手段がなくなった人たちのお役に立ちたいということで、チャーター機を運行しました。それはまさにANAの安心、温かく、元気で、チームスピリットで行った事案です。当時はコロナが何か分かっていない中、パイロットも客室乗務員も防護服を着ていくような時に、社会貢献をしていこうとする精神がANAグループにはあります。自分たちの持ってるものを使ってそういうことができたというのは、とても素晴らしいですし、自分たちの仲間がそういうことができたのはすごく感慨深かったです。
会社のチームスピリットを表すトピックスを最後に伺うことができ、誠に有難うございました。
前列左から 湊朋希、内野秀斗、田中葉子氏、高橋龍二郎、境新一先生
後列左から 同窓会事務局長 本田敏和、事業支援委員 宮地藤雄、事業支援委員 罇五郎、
事業支援委員 新谷彰子
【編集後記】
第3回OBOGインタビューでは、全日空商事株式会社で人事部門に勤務される田中葉子様にお話を伺いました。インタビューの際は、全日空商事株式会社様のオフィスの一部屋をお借りして対談させていただき、緊張感ありながらも有意義なインタビューになりました。
田中様は通販部門、ホテル用品部門、機内販売部門、人事部門を歴任されており、学生時代は成城の初等学校の頃よりスポーツを通じて、物事に取り組む上での一生懸命さや団結力を身につけており、大学では女子ホッケー部の主将という役割を果たしていました。
今まででこなしてきた仕事では、「お客様のありがとうのために」というスローガンの下、顧客と真摯に向き合いサービスの改善に尽力されてきました。私たちは、そんな田中様の仕事への向き合い方にこれから社会に出て働く身分として、とても学ぶことがあったと実感できる対談だったと思いました。
成城大学経済学部 境新一ゼミ
内野 秀斗(経済学部4年)
高橋龍二郎(経済学部4年)
湊 朋希(経済学部4年)
写真撮影:内野 秀斗