東郷克美(旧教員)
2012年11月10日/ゆまに書房
定価:2,800円+税
ISBN978-4843340981
大正・昭和・平成、三代にかけて、倦まず弛まず文学的精進を続けた文豪・井伏鱒二の全文業に迫る。
処女作「幽閉」(名作「山椒魚」の原型、大正一二年)から不朽の名作「黒い雨」(昭和四一年)、
晩年の大作「鞆ノ津茶会記」(昭和六一年)まで、井伏文学の主要作品・詩を論じている。
昭和初期、井伏文学は「余裕と飄逸とユーモアの文学」と評されたが、太平洋戦争を挟んで、大きな変貌を遂げてゆく。
戦後の井伏は鋭い現実批判にかりたてられて、多くの傑作を書き残した。その変貌の過程を、著者は鋭い作品分析
を通して明らかにしてゆく。
―帯より―
「井伏鱒二の青春」(昭和四十年)から「井伏鱒二と甲州」(平成二十三年)まで、実に四十五年をかけて執筆された、
多くの井伏論のなかから、著者自ら十五篇を精選した井伏文学探究の書である。